19 11月 2015

【JACKSON’S】
プロトタイプ シンバル その1

jacksonsdrum

 

今回は、私が一番のドラムヒーロー、Will Calhoun 本人から直接譲っていただいたシンバルを紹介します。

今年9月、NYに滞在したときに、彼と食事をする機会に恵まれ、本当にいろいろな事ーーーいかにファンかということ、ブロンクス、クイーンズ、マンハッタンなどNYの色々な地域のミュージシャンのそれぞれの特徴、最近のLiving Colour、日本に対しての関心、そしてRyu Matsuyama最新アルバムのある曲を、以前彼に譲ってもらったシンバルを使用してレコーディングしたことなどたくさんの話をさせていただきました。

その中で彼が語っていた、国内ツアー、国外ツアーを通して彼が大事にしていること。それはサウンドチェックではなく、演奏する前に、その土地の事をいかに良く知るかということ。観光はもとより、時間さえあれば会場の回りをぶらぶらしたり、近くのレストランやお店で料理、飲み物、そして地元の人との会話をすることで、当日の演奏のインスピレーションを得るそうです。彼が今年日本に来た際も、会場でサウンドチェックをする時間までは浅草や、楽器屋さんや、お土産屋さんなどを回っていたそうです。

さて、Ryu Matsuyama 最新mini album “Grow from the ground”に収録されている “Paper Planes” という曲があります。印象的なピアノのイントロ、フロー感があり凛としたRyuのボーカル、縦横無尽に駆け回ったと思いきや低音の域を超えて曲を支えるTsuruのベース。曲中で突如どこか異国の教会の鐘か踏切の鐘かのようにカンカン、、とシンバルが聴こえてくるセクションがあります。一番の一回目Aメロの後の間奏、一番のサビの後の間奏、そしてエンディングで聴く事ができます。このスモーキーで透明感あふれるシンバルの音色こそが、私が彼に最初に譲ってもらったシンバルなのです。爽快感と、適度な重厚感が絶妙にマッチした音色の、このグルーヴが実は私のお気に入りで、他の曲にも使用している事が多々あります。

メーカーはカナダに拠点を置くSABIAN。元々SABIANは有名なシンバル会社であるZildjianを引き継いだ長男アーマンドジルジャンと次男ロバートジルジャンがモメて、次男ロバートがZildjianを去り設立したシンバルメーカーです。ロバートの三人の子供の頭文字をとってSABIANとなりました。

大きさは20インチで、いわゆるライドシンバル(主にサビなどで使用されるキラキラとした音色を持つ大きな口径のシンバル)としては標準的な大きさです。特徴的なのは、シンバルを横から見た際に分かるゆるやかな傾斜と、カップ(ふくらんでいる部分)の形状です。ゆるやかな傾斜と多数の丁寧なハンマーリングにより、サスティン(音の伸び)が豊かで、ピッチの低い倍音成分がたっぷり含まれています。また、扁平なカップの形状は、50-60年代に流行した、old Kと言われるヴィンテージシンバルーー黄金時代のジャズドラマーが愛した、あのサウンドを狙っていると思われます。音量はバカでかくはないですが、きちんと美味しい部分が凝縮された小気味よいベルの音がします。

裏にはWill Calhounのプロトタイプ(試作モデル。アーティストに特別にオーダーされた物か、市販をする前の段階の試行錯誤のモデル。)の証であるサインの刻印と、直筆でサインが入っています。プロトタイプは、販売される事を目的としていないので、通常ドラムショップで市販されている事は滅多に無く、シンバルメーカーが直接催すイベントや、所有しているドラマーが売却した時にのみお目にかかれる珍しいもので、見た目やサウンドに、ひと癖もふた癖もある事が多いです。Willはこのシンバルについて 伝説のジャズドラマー、エルヴィンジョーンズの様なシンバルのサウンドを狙って作ってもらったそうです。このシンバルは恐れ多くも、”elvin jones ride”とでも名付ける事にします。

ぜひ、新しいアルバム ”Grow from the ground” ”Paper Planes” を聴いていただく際、ふと思い出していただけたら幸いです。

Unknown-1 UnknownUnknown-2

|

Leave a Reply

In a Sunny Place // ALBUM
  1. In a Sunny Place // ALBUM
  2. Paper Planes // ALBUM
  3. In this Night // ALBUM
  4. Taiyo // ALBUM
  5. Run boy,run // ALBUM
  6. Child // ALBUM